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昨日の続編です。もいっちょ続きますお。

それにしても二次創作なんて何年ぶりだろか?
久々すぎて生来の遅筆が輪をかけてひどく/(^o^)\ナンテコッタイ



イル・ファン学術研究所の源霊匣研究棟。ジュードはタリム医院で非常勤医師として働きつつ、この研究棟にも研究員として所属している。先月はヘリオボーグ基地での実験に立ち会った。再来週にはカン・バルクで技術報告会がある。つまりは多忙である。
故に今彼が与えられた研究室で資料と機材のベッドで眠っているのは仕方がないことだった。彼の多忙を知る者なら、あと10分、せめて5分でもそのまま眠らせてやりたかったことだろう。しかし。
「ジュードっ!」
壊れてしまいそうなほどの勢いでドアを開けた人物により、彼の束の間の休息は終わった。
 
 
衝撃によって崩れた紙の山を片付け一息つくと、ジュードは突然の訪問者に向き直った。
「久しぶり、だね。急に訪ねてくるんだもん驚いたよ、レイア」
「それは…ごめん。でも手紙読んで、いてもたってもいられなくって。…単刀直入に言うよ。ジュード、お見合いするって本当?!」
鬼気迫るというのはこういうことなのかなと思いつつ、興奮で頬を紅潮させるレイアにジュードは冷静に応えた。
「あぁそれ、うん、本当。っていうか昨日してきた。綺麗で教養があって穏やかな人だったよ」
「何それ聞いてない!」
驚愕でレイアの碧眼が大きく見開いた。昨日のことなのだから知らなくて当然だ。とジュードは思ったが口には出さず、レイアの反応をうかがった。
それから黙り込んでしまったレイアの顔色はいつもより白い。具合でも悪いのかとジュードがレイアに伸ばそうとした手は、彼女の問いかけで止まった。
「…それで、どうするの?その人と結婚するの…?」
レイアの表情は俯いていて見えない。だが明るいものではないのだろう。
「まさか。もうお断りしたよ」
「えっ本当に?」
パッ。そんな効果音がしそうな勢いでレイアが顔を上げた。もう顔色が戻っている。その切り替えの早さにジュードは口元に笑みを浮かべた。
「本当だよ。素敵な女性だったけど」
「いい人なのに断ったの?」
「だからだよ。僕じゃ釣り合わない」
ジュードとしては当然の理由だった。見合い相手のことを思い出した。ジュードより少し年上の彼女は美しく聡明で、落ち着いた大人の女性だった。自分は医師としても研究者としても未熟で、大きな結果はまだ出せていない。加えて仕事と研究三昧で、それら以外のことはしてこなかったため女性の機微には疎い。そういう意味で子どもの自分が釣り合うとは思えなかった。だがレイアはそれが気に入らなかったらしい。
「何その理由!ジュードだってすごいじゃない。ずっと頑張ってて、研究も認められてきて。なのに釣り合わないとか、ジュードってば自己評価低すぎ!」
「別に、そんなこと…」
「ある!ジュードの悪い癖だよ!直しなよいい加減」
頭ごなしに怒鳴られ、さすがにジュードもカチンときた。久しぶりに幼馴染が会いに来てくれて嬉しかったのに、何故自分は説教されているのだ。別に悪いことはしていないのに。
「何で怒られなきゃいけないのさ。っていうかレイアはお見合いに反対なのか賛成なのかどっちなんだよ!最初は反対なのかと思ったら、今度は逆のこと言い出すし。一貫性のない話するのやめなよ!」
売り言葉に買い言葉。普段のジュードならば相手の話にうなずいて、静かに怒りが去るのを待つのだが、幼馴染ゆえの気安さか対レイアだとつい応戦してしまう。
「…~っもういい!ジュードの鈍感!」
そう叫ぶと、レイアは研究室を飛び出した。荷物を置き去りにし、かわりに捨て台詞を残して。
残されたジュードは中断していた作業に取り掛かった。レイアとの喧嘩には慣れている。荷物も置いたままだからそのうち戻ってくる。頭を冷やした方がいいのだ、お互い。ジュードはそう思ったのだが。
 
「失礼します、ジュード先生」
控えめなノックの後、ドアが開いた。今度の訪問者はプランだった。元看護師の彼女は現在、源霊匣研究棟の職員であり、たまにジュードの助手も勤めてくれている。
「新型の計測結果が出ました。資料を持ってきたんですけど」
「ありがとうございます。…数値上がってますね」
資料を受け取り、ざっと目を通した。
「はい、あの…さっきすれ違ったのってレイアさん、ですよね?」
「あ~はい。えっと、プランさんには話しましたよね、僕のお見合いのこと。それで訪ねて来たみたいなんですけど、何か怒って出て行っちゃいました」
手元の資料からは目を離さず、ジュードは事態のあらましをプランに説明した。
「…それでジュード先生は何をなさってるんですか?」
「何って今から論文の推敲と計測結果のまとめを」
「それって後でもできますよね?追いかけて下さい」
何だか雲行きが怪しい。プランの目だけが笑っていない微笑に思わずジュードは半歩下がった。
「できますけど、でもギリギリまでかかるのは嫌ですし」
よくある些細な喧嘩だ。レイアとて子どもではないのだから、少し時間を置けば落ち着くだろう。フォローならそれからで十分だし、今は報告会の準備が優先だ。
「徹夜でも何でもすれば大丈夫でしょう?追いかけて下さい」
「…あの僕、昨日も睡眠2時間しか取ってなくてその前も」
内心びくつきながらもジュードは反論を試みた。だが火に油だったようで、プランの微笑は般若の相に変わった。
「ジュード先生の睡眠時間なんてどうでもいいんです!何でレイアさんが来たのかわかります?たまには源霊匣以外のことも考えたらどうですこの鈍感野郎!」
酷い。そう思ったがジュードは黙ることにした。これは素直に従った方が賢明だ。
 
「さっさと追いかけなさい!」
「は、はいっ」
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ジュレイ見ました!ここ更新早くてうれしいです!
トナカイ 2011/10/17(Mon)16:31: 編集
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