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『輪るピングドラム』はじめました。 ←冷やし中華的な感じで

二次創作のジャンルを増やします。ということでピンドラSS第一弾です。
晶馬の独白に近い話で暗い。過去捏造アリ。
第一弾でいきなりシリアスってどういうことなの・・・ほのぼの・コメディも書きたい。晶ちゃんの女装ネタとか書きたい。
いつか女装やってくれると思ってたけどもうアニメには期待できない・・・あの雰囲気ではヽ(τωヽ)ノ モウムリポ

続きから本文。





あれから2年近くが経った日、僕と兄貴は我が家を見に行った。
心配だったのだ。突然追い出され、赤の他人に踏み込まれ、遠ざけられた家がどうなっているのか。早く帰りたいと思ったから、こっそりおじさんの家を抜け出した。陽毬はその時体調を崩していたから、元気になったら連れて行こう、兄貴と相談して、学校をサボって懐かしい我が家へ。
 
戻れると思っていた。家に帰れば、元通りとはいかないけれど、父さんと母さんはいないけれど、頑張れば日常に戻れると。
そして知った。現実は理不尽で、愛すべき日常は過去へと追いやられてしまったことを。
 
久しぶりに目にした我が家は酷い有様だった。割られた窓ガラス、大きく凹んだ玄関のドア、汚い罵りの言葉で埋めつくされた壁。ひでぇ。怒りと悲しみで歪む兄貴の横顔を横目で見て、彼とは対照的に僕の頭は冷めていた。
だって、これが当たり前じゃないか。あんなに大きく報道されて、日本中の敵意に晒されて。これが現実だ。これからの、僕らの日常だ。
 
「家、直すぞ。陽毬にこんなの見せられない」
「…うん」
 
それからは壁の落書きを消して、また書かれて消しての繰り返しが続いた。しつこい嫌がらせも、ペンキを塗り直す間に聞こえてくるヒソヒソ話も黙って受け止めた。兄貴は反論したそうだったけれど、僕が止めた何も言わなかった。
1年近く経って、僕らは家に戻った。おじさんは反対した。でも兄貴が無理を押し通す形で僕らの帰宅は叶い、兄妹3人での生活が始まった。陽毬には優しく、兄貴には少し厳しく、平和な日常を作った。わかりやすい嫌がらせはもう止んでいた。
 
戻れないとわかっていた。閉じられた世界にぽつんと立つ、たった3人で作られたハリボテハウス。幸せな過去は遠く、幸せな未来は訪れず、前にも後ろにも進めない今があるだけ。
「あなたは自分の都合のいいように、表面的に家族の形を取り繕っているだけじゃないの!」
知ってるよ。それでも縋るしかなかった。外の世界は僕らを許しはしないから、作り物でもこの日常を愛したかった。愛せば、思い込めば、戻れる気がしたんだ。
でも現実は容赦なく僕らを襲う。お前たちに安穏とした日々など来るものか。徹底的に不幸になってしまえと嗤う。
 
だったら。奪われるくらいなら、失うくらいなら、傷つき傷つけるくらいなら。
「…もう、いいだろ…」
耳をふさいで、泣き声には聞こえないふりをした。


--------------------

運命も現実も抗うのが冠葉(開き直り)、運命を信じて現実を否定したのがリンゴ(過去形)、運命も現実も受け入れてしまうのが晶馬(諦め)。って感じですか。
陽毬は・・・今のところ傍観が近い?中心にいるけどちょっと遠い。
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