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これでこのSSは完結です。
この子達はひっつくとしても時間かかりそうだと思う。

コメントくださった方々、励みになります!(*^▽^*)




柔らかい潮風と水平線、響く汽笛は、それがどこの港でもル・ロンドを思い出す。
喧嘩をすると彼女は決まって海を見に行った。初めて喧嘩した時は彼女がどこに行ったのかわからず、夕飯時になっても帰って来なかった。心配と不安と罪悪感で泣きそうになりながら探し回って、ようやく見つけた彼女の髪は潮の香りが染み付いていて、一緒にお風呂に入ってマーボーカレーを食べて仲直りをした。今でも覚えている。
5年前から世界の空は、綺麗な青だった。
 
 
彼女の背中は記憶のそれより大きくて、けれどやはり小さかった。お互いに成長した。それでも変わらないものは沢山あった。これもそうなのだろう。
「レイア」
彼女はイル・ファン海停で海を眺めていた。潮風に揺れる髪は、5年前より随分伸びた。
「そんなとこに座ってたら、波が来て濡れるよ」
佇むレイアの隣にジュードは腰を下ろした。地面に体育座り。子どものようだ。
「…ジュードのばか」
レイアの視線は逸らされない。同じようにジュードも海を眺めた。港の喧騒の中、彼女の声はか細い。
「あほ。っていうかバホ」
続く悪口にジュードは苦笑し、バホって懐かしいなと呟いた。
「ごめん」
「鈍チン。間抜け。卑屈。ワーカホリック。源霊匣オタク。へたれ」
「…言い過ぎじゃない?」
さすがに反論しようとジュードがレイアに視線を向けると、彼女も彼の方に顔を向けていた。その拗ねた表情が幼くて可愛らしくてジュードが微笑むと、レイアはますます頬を膨らませた。
「何で笑うの。私怒ってるんだよ!」
「うん、ごめんね」
ジュードが謝ると、レイアはそっぽを向いてしまった。
「何が悪いのか、ちゃんとわかってるの?」
「うーん、多分」
「多分って」
呆れた!大仰にため息をついて、レイアはまた海の方を見た。彼女の横顔は少女めいていて、けれど大人の女性に近づくそれだった。明るい薄化粧が彼女の成長を感じさせた。
「本っ当ジュードって鈍感だよね。ジュードはさ、よくやってるよ。皆のために頑張って、努力し続けて、少しずつだけど実ってきてるじゃない。ちゃんとわかってるよ、見てくれてる人は沢山いる。なのに自覚ないんだもん!他人から向けられる負の感情には無駄に敏感なくせに、その逆は全然!直らないよね~もう染み付いちゃってるもん」
「…ごもっとも」
「もっと自覚しなよ。ジュードは自分で思ってる以上に周りに好かれてるよ。愛されてるよ」
「そう、かな」
「そうだよ!少なくとも私はジュードが大好きだよ」
告げられたレイアの言葉に、ジュードの琥珀色が瞬いて止まった。それを見て、ああ綺麗な色だなあとレイアは思った。
 
ずっと考えていた。イル・ファンへ向かう途中も、喧嘩をして海停に来ても。3年ぶりにあった幼馴染は背が伸びて、容貌だけは大人びたが、自信過少気味で他人の好意には疎くて、こっちの気持ちには気付いてくれない。言葉にしなければ伝わらないのだ、この鈍感君には。
だからせめて自分だけは愛の言葉を伝えよう。彼が不安にならないように、愛されているのだと実感できるように。彼が恥ずかしがって照れてしまうくらいに。
 
「ありがと、レイア。僕もレイアが大好きだよ」
レイアが告白して数秒、黙り込んでいたジュードがようやく口を開いた。
「でもそれはレイアのと同じ意味なのか、よくわからないんだ。曖昧で」
 
レイアから向けられる好意が恋情であることに薄々気付いてはいた。ただはっきりと言葉にされるまでは自信がなかった。だからジュードは考えてこなかった。違っていたら怖いから。
「でも、ね。僕にとってレイアは世界で一番大事な女の子なんだ。それは本当」
けれど考えなくてはいけない。自分は彼女に愛されている。それと同等以上のものを彼女に与えられるのか考えなくてないけない。
「絶対幸せになって欲しいし、幸せにしてあげたいって思う。だから、待っててくれないかな?」
ゆっくり言葉と選びながら、ジュードはレイアを見つめた。自分を真っ直ぐに見てくれる彼女を幸せにできるだろうか。ジュードにははっきり言い切れる自信がない。けれど。
「ちゃんとレイアのこと、愛してるって言えるようになるまで待ってて欲しいんだ」
もう決めなくてはいけない。できるできないではない、やるかやらないかなのだから。
 
ぽろり、とレイアの大きな緑から涙がこぼれた。それは次から次へとこぼれて彼女の白い頬を濡らしていく。
「うわ、ごめん!その、煮え切らない答えだったよねやっぱり。でも今はこれで精一杯っていうか」
とりあえずハンカチ、ああガーゼしかない!わたわたと狼狽するジュードからガーゼを引ったくり、涙を拭いて、ついでに鼻もかんでレイアはにっこりと、大輪の花が咲くように笑った。
「私、子どもは二人以上欲しい。男の子と女の子。…だからあんまり遅くなったら嫌だからね!」
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無題
素敵なお話をありがとうございます!
ジュレイ、いいですよね〜。私は本編を
やりながら、絶対この二人って公式だと
思いながらやっていたのですが、サイトを
探してみたらあんまり少なくてびっくり。
これからもジュレイの素敵な話を書いて
ください。
ほんとに、本編のイメージを崩さずそのまま
の素敵なジュレイでした!
Non 2011/10/19(Wed)22:24: 編集
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